2016.04.30

PHILOSOPHY

”揺るぎなき制作意欲”は?岡崎体育「MUSIC VIDEO」MV制作者・寿司くんインタビュー

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「カメラ目線で歩きながら歌う」「2分割で男女を歩かせて最終的に出会わせる」——京都出身のソロアーティスト・岡崎体育さんが“ミュージックビデオあるある”を歌った曲、その名も「MUSIC VIDEO」が大きな話題となっています。

4月19日にYouTubeでMVを公開してから1週間で100万回再生越え、4月30日時点で130万回突破と、メジャーデビュー曲としては異例のスピード。

 

「こういうシーン、あるある!」と笑いながらつい最後まで見てしまうこのMVは、どのように制作されたのでしょうか?そしてアーティストや制作者が込めた思いとは?「MUSIC VIDEO」のMVを作成した映像作家・寿司くんさんに、制作秘話をインタビューしました。

 

sushikun

 

◇寿司くん(すしくん):京都府出身、大阪芸術大学芸術学部映像学科卒業の映像作家、23歳。「寿司くん」名義でアニメ・MVなどの映像作品を中心に制作活動をしている。バンドマンという一面も持ち合わせている。

 

sushikunokazaki
@twitter.com

▲京都の宇治中学校軟式テニス部OBで、先輩・後輩にあたる岡崎体育さん(写真左)と寿司くんさん

 

◇岡崎体育(おかざき・たいいく):京都府出身の男性ソロアーティスト、26歳。5月18日にアルバム「BASIN TECHNO(盆地テクノ)」でメジャーデビュー予定。

 

 

「一億人に届け」が現実に!?

 

——公開1週間でYouTubeでの再生回数が100万回を突破し、岡崎さんはかの有名な音楽番組「MUSIC STATION」(テレビ朝日系)話題の音楽コーナーに出演、と本当に一億人に届きそうな勢いで話題となっていますが、反響はいかがですか?

 

すごいです。撮影する前から岡崎さんと2人で「絶対に話題になるものをつくりましょう!」と盛り上がっていたのですが、まさかここまでとは…嬉しいですね。僕は芸大出身なのですが、美大や芸大の映像の授業でもさっそく取り上げられているらしく、このMVから一体どんなことが教えられているのか気になるところです。

 

 

——「MVあるある」を表現したMVを撮影しよう、このお仕事を受けようと思った理由は?

 

インディーズ時代から岡崎さんのMVを制作していたんです。「家族構成」、「FRIENDS」、文化庁メディア芸術祭の審査委員会推薦作品にも選ばれた映画「あつまれ!わくわくパーク」を経て、岡崎さんと僕の映像面でのコンビ関係が出来上がっていきました。そんな中、岡崎さんのメジャーデビューが決定し、デビュー作品のMV制作依頼をいただいたので、むしろ、断る理由が無い!という感じでした。

 

「MUSIC VIDEO」のアイデアは半年ぐらい前から聞いていて、ようやく実現した形になります。歌詞をもらったときにまず思ったのは「これ撮影大変そうやな…」でしたね(笑)。

実は岡崎さんは、当初役者さんに全部演じてもらうつもりで歌詞を書いていたみたいなんですが、やっぱり岡崎さんが再現していくのが一番わかりやすいし面白いんじゃないかなと思ったので、岡崎さんに「全部自分でやってください」って言ったら「えー!嫌や…ケーキを顔面にぶつけるとか嫌や…」って言ってましたね。

 

okazakicake
@twitter.com

 

曲に関して、あるある部分はもちろん最高なんですけど、何よりサビの歌詞が好きです。「揺るぎなき制作意欲は作り手の願い 狂いなき眼差しは受け取り手の思い 一億人に届けミュージックビデオ」って!良い歌詞すぎるやろ!なんやこれ!これ絶対にええのつくらなあかんぞ、って気合いが入りました。

 

3人で100時間連続撮影、130万回再生突破

 

——撮影に使用するアナログテレビをTwitterで募集していたり、最後の空撮のようなシーンはドローンでの撮影かと思いきや走って撮影していたりと、大変さと制作費用の無さがひしひしと伝わってくるMVですが、特に大変だった撮影シーンや編集シーンはどちらですか?

 

 

このMVは3人で全部制作しました。大変だったシーンは山ほどあるんですけど「アナログテレビ何台か並べて砂嵐流しとく」シーンは特に大変でしたね。実は夜10時ぐらいに岡崎さんと2人だけで野外で撮っています。テレビを運んで並べて、僕の家から延長コードを繋いで100mぐらいの長さにして、無理矢理電源を確保してました。

 

MVTV
@youtube.com

 

編集に関しては、後回しにしたら素材が多すぎて混乱するぞ…と思ったので、撮影の移動中に車内でほとんどやってしまいました。撮影して、移動中に素材を取り込んで編集して、また別の場所で撮影して…の繰り返しでした。だから、ベースの編集はかなりスムーズでしたね。

それでもシーン数が異常に多いので、色味の調整、アニメ制作、分身の合成、リリックビデオ風の映像、モザイク処理…など、具体的な時間は覚えていないですけど、かなりの編集時間と作業量でしたね。時間がなさすぎて、一人でパソコン3台使って同時に作業していました。

 

MVあるあるの否定?制作者が込めた思いとは

 

——MくんとUちゃん交際秘話のような、MVに込めた裏話を教えてください。

 


ラーメン屋の見習いが店の前で落ち込んでるシーンでは、「30年間継ぎ足して使っていた秘伝のスープを間違えて全部捨ててしまって怒られて落ち込んでる」という設定で演技してもらってます。

 

そのほかにも実は映像内に結構小ネタを仕込んでいるんですが、あまりネタバレしたくないので内緒です。YouTubeのコメント欄やSNSのコメントでいくつか気付いている人がいて、すげー!隅々まで見てくれているなあ、と感動しましたね。

 

MVramen
@youtube.com

 

——MVあるあるの否定や皮肉だという声や、むしろ愛が込められているという声など、再生回数が増えるにつれ様々な感想が見受けられます。受け取り手にはどのように捉えてほしいと考えていますか?

 

否定や皮肉と捉える声が出てくることは、最初から承知の上でつくっています。ただ、岡崎さんは一貫して「歌い方が腹立つだけで一切ディスってない。歌い方が腹立つだけ!」って言ってますね。僕としてもあるある演出を否定しているつもりは一切ないです。

メディアで「全クリエイターを敵に回すMV」というような触れ込みで紹介されていましたが、見てもらうきっかけとしてインパクトのあるコピーだなあ、と思いました。実際にそれで見て聴いてくださった方の感想はほとんど好意的で、MVを否定しているというイメージで受け取っていた方は少ない印象だったので安心しました。でも賛否両論あっていいと思うので、見ている方には自由に感想を持ってもらいたいですね。

 

 

音楽と映像の力を再認識、面白いは正義!

 

——寿司くんさんはアニメ・MV制作での映像作家と、ヤバイTシャツ屋さんでのバンド活動との二足のわらじ状態ですが、今後挑戦したいことはありますか?

 

アニメは面白ければ何をやってもいいと思ってつくっています。脚本も自分で書いているので、すごく自由につくっていますね。MVは音楽が主役なので、楽曲の良さを120%引き出すことを目標にしています。

今後は、自分にできることとやりたいことに全力を出したいと思っています。今回のMVで岡崎体育さんを知って、岡崎さんが行っている、コンピューターで音楽をつくるDTM(デスクトップミュージック)をはじめたいと思った人ってたくさんいると思うんですよね。実際僕も岡崎さんを見て、DTMやってみたい!と思いました。

 

 

——寿司くんさんが考える、自身の揺るぎない制作意欲の源と、音楽と映像の持つ力とは何ですか?

 

作品公開後に届く、見てくださった方からの声です。自己満足の作品づくりはしたくないと思っているので、たくさんの方に見てもらって感想を聞きたいです!

今回の「MUSIC VIDEO」の感想を見ていたら、「熊本地震で被災して落ち込んでいたけど、初めて笑った」という感想を書いてくれている方がいました。僕自身も疲れたときに音楽や映像から元気をもらっていますが、それだけのパワーを持っているということを再確認しました。音楽や映像に限らず面白い、楽しいっていうのは正義だと思っているので、今後もそれを追求していければ最高ですね!

 

 

 

当初は4月14日夜に「MUSIC VIDEO」のMVを公開する予定だったものの、公開予定の1時間前に発生した熊本地震の状況を鑑み、公開を自粛したお二人。笑い溢れるこのMVを公開するか否かその後も悩み葛藤したものの、勇気を出していざ公開したら、「笑顔になれた」「元気をもらえた」との声が被災地だけでなく日本中から殺到。音楽と映像の力を再認識した、と語る姿が印象的でした。

 

ついにメジャーデビューを果たした岡崎体育さん、そして彼と二人三脚でひた走る寿司くんさんのコンビに、今後も要注目です。

 

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