2017.07.19

PHILOSOPHY

初心者にも将棋を楽しんでもらいたい 駒に描かれた模様で動きが分かる「大明駒」とは

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連勝こそ途切れてしまったものの、テレビやネットニュースで藤井聡太さんの姿を見て将棋に興味を抱いた人は多いのではないだろうか。とはいえ、駒の動きを覚えて実際にゲームをしてみるという段階にたどり着くのは、それなりに大変だ。
 
グラフィックデザイナー、アートディレクターとして活動する稲葉大明(いなばたいめい)さんが考案した将棋駒「大明駒(たいめいごま)」は駒の動きが模様で表されており、将棋未経験者や海外の方でも気軽に将棋を楽しむことができる。今回は稲葉さんに制作に至った想いや、こだわりについて伺ってきた。
 
 

稲葉大明/FUNDAMENT

 

 
1978年生まれ。多摩美術大学グラフィックデザイン科卒業。
広告会社マッキャンエリクソンを経て、クリエイティブブティック猿人の
立ち上げに加わる。2011年に独立し、デザイン&ディレクションスタジオ
FUNDAMENTを設立。(FUNDAMENT HPより)
 
 
ーーそもそも「大明駒」の考案に至ったきっかけは何でしょうか。
 
もともと将棋を指すのが好きで、浅草の飲み屋さんに将棋を置かせてもらって仲間と飲みながら将棋を楽しんだりしていました。それを見てやってみたいという方が結構いらっしゃったのですが、駒の動きを覚えて、実際にゲームを始めるまでが結構難しくて覚えることに飽きてしまったり、実際始めてみたら「あれ、この駒はどう動くんだっけ?」という形で忘れてしまったりということがありました。そこでまずはストレスなく、将棋に触れられるものをつくろう、という想いがありました。将棋ファンを増やしたいというのが大前提にあります。
 

©︎FUNDAMENT

 
ーー大人になってからも気軽に将棋に挑戦できるというのは素敵ですね。いつ頃から構想を始めたのでしょうか。
 
2014年頃にテストモックを作りまして、実際にその年の12月に商品としてwebショップで販売開始しました。アイディアに対して賛同の声はあったものの、最初は全然売れなかったのですが、今年に入って藤井四段の効果があったのか販売数が増えました。2016年にグッドデザイン賞を取らせていただいたというのも大きなきっかけになったかと思います。
 
ーーデザインにはどういった想いを込めたのでしょうか。
 
これまでも子ども向けの教育将棋駒はいくつかありましたが、大人も使えるようなデザイン性の高いものを作りたいと考えました。実際の本将棋の駒も僕はとても大好きで、漢字のクールさというか、ストイックな雰囲気が好きなのですが、知らない方には堅苦しい難しい印象という部分をデザインすることで、少しでも将棋に触れてみたいという人が増えたらいいなという想いです。

ー稲葉さんがアイディアを思いついた際に描いた最初のスケッチ

 
当初は初めての人向けということで、ポップでカラフルなデザインで作っていましたが、実際に並べてみるとかわいいのですが将棋に見えなかったんです。ゲームとしては変わらないのですが、僕の思っていた将棋のかっこよさだったり雰囲気が伝わらなかったんです。本来の将棋の雰囲気を伝えられるように今の黒と金と銀だけで表現するというデザインに最終的には落ち着きました。
 
ーー稲葉さんご自身が思う大明駒の魅力は何でしょうか。
 
まず、初心者に対して説明がしやすいという点ですね。初心者向けではありますが、実は経験者が初めての人に対して教える時に使いやすいという実感はあります。
 
ーーこれまでのデザインやお仕事も含めて大切にしていることやこだわりなどはありますか。
 
なるべくシンプルなデザインにしたいとは思っています。無駄を削ぎ落としてシンプルにフィニッシュしたいというのはデザインだったり、アートディレクションの中では考えてはいることですが、大明駒はその最たるものかもしれません。意図した訳ではありませんが、駒の動きというだけで削ぎ落としていくとこういった形になりました。
 
ーーこれからやってみたいことや関わっていきたいことは何でしょうか。
 
この駒に関しては、現状社内で一枚一枚手塗りをしており、どうしても高価になってしまうので、木材や作り方変えた、安価で販売できるプロダクトラインもつくろうと動き出しているところです。
 

 

 
将棋自体がすごく好きなので、本業であるグラフィックで将棋の魅力を伝えられるような取り組みに挑戦したいです。将棋の世界の面白さや魅力ってなかなか伝わりにくいし、説明しにくい。将棋が分かる人にとってはそれが特権的な面白さでもあるのですが…。昔からこれだけファンがいるということは面白いゲームであることは間違いないわけで、将棋を面白いといってくださる人が少しでも増えるように、また違う表現で将棋の魅力を伝えられたら、と思います。
 

終わりに

将棋の魅力を多くの人に伝えたい、という稲葉さんの想いから完成した「大明駒」。インタビュー終了後、笑顔で将棋について語っていた姿がとても印象的で、本当に将棋を好きな気持ちがこちらにも伝わってきた。
 
テレビゲームやスマホゲームの台頭で、昔ながらの遊びや、将棋をはじめとするボードゲームに親しんだことがない人が増えているという現状で、「大明駒」のように間口を広げる取り組みがより増えることが、これからのボードゲーム、延いては伝統的な娯楽の未来を作ることに繋がるのではないだろうか。
 
 
Cover photo by FUNDAMENT
 
WEB STORE
9000円〜(2017年7月時点)

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