2017.08.22

PHILOSOPHY

美術館×ラップの新たな試み 「ラップ・ミュージアム」展-市原湖畔美術館にて開催中

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8月23日追記
訂正:動画中のBOZさんの対戦相手がT-TANGGさんとなっておりますが、J平さんの間違いです。大変失礼いたしました。

渋谷から車で約1時間半、千葉県の市原湖畔美術館にて現在開催中の「ラップ・ミュージアム」展はラップをひとつのアートフォームとして捉え、その構造を分析しながら、ラップから派生された文化的実践に焦点を当てる、日本で初めての展覧会。
 
これまでラップやヒップホップなどの文化と接点がなかった人や、小さな子どもでも楽しめる展示やイベントが美術館で開催されている。
 
初日の8月11日(祝・金)には美術館に設置された特設ステージでオープンを記念したMCバトルも行われた。エキシビジョンマッチは埼玉県出身で『THE 罵倒 GRAND CHAMPIONSHIP』などの優勝経験を持つTKda黒ぶち(ティーケーダクロブチ)と、この展示が開催された千葉県出身でUMB、戦極MC BATTLEで活躍する田中光(タナカヒカル)による、「アート」をテーマとしたバトル。
 

 
1試合目は「立体作品と平面作品」のどちらが良いかを問う戦い。立体を選択したTKda黒ぶちが、生身の人間の動きなど平面ではなし得ない視覚の豊かさを語ったかと思えば、平面派の田中光は写真や文学作品から受け取った無限の想像力について投げかける。2試合目では色彩について、「赤と青」どちらが優れているかを語りあった。最終試合のお題は「アートとは」。とてつもなく広いテーマに、どうなることかと固唾を呑んで見守る観客。
 
しかし、さすがは百戦錬磨をくぐり抜けてきたMC2人。「俺が思ったこと それを即描写できるのもアート」だったり「生まれてから全然アートっていうものをやめたことがないよ」といったメッセージが飛び出してきた。
 
本展示ではそうそうたるメンバーのリリック帳を直に見ることができたり、某ラッパーの部屋を再現したコーナー、レコードやカセットテープが所狭しと並べられていたり、VRゴーグルをつけてサイファー(輪になってフリースタイルをする)を疑似体験できるブースなど、子どもから大人まで楽しめる内容になっている。
 

 

 
エキシビジョンマッチに出場した田中光とトーナメントバトルで惜しくも準優勝となったBOZのインタビューは以下。今回のオープニングイベントに出場したラッパーたちの中では比較的年齢層は高めな2人。これから年を重ねていくラッパーたちに何を期待するのだろうか。
 

田中光


 
ーー美術館でのラップはいかがでしたか?
 
バトルってなると相手の悪いところってなかなか浮かんでこないのですが、テーマがあるとどんどん言葉が出てくるのでそういった意味では(普段より)やりやすかったですし、新鮮な行為だったと思います。
 
ーー今回は若いMCが多く出演されたと思うのですが、今後若い世代に何を期待しますか?
 
もっとHIP HOPを好きになって欲しいですね。地元にこだわるとか、DIYで作り上げるとか、生活に係る様々な思想を大切にすることがHIP HOPだと思います。
 
ーー田中さんは千葉ご出身ということですが、千葉のラップ文化にはどんな思いを抱いていますか?
 
千葉には結構ヤンキー文化みたいなものがあると思っていて、千葉のアーティストのライブを見ているとそつなくこなすというよりは、いかにかますかという感じで、オラついているというわけではないのですが技術面も含めてそんな雰囲気はありますね。自分もそんなラッパーでありたいと思っています。
 
ーー今後の目標などありましたらお願いします。
 
これからもフラットに音楽に関わり続けたいです。好きな人だったり、自分がかっこいいと思う人と一緒にやれたらなという思いがあります。
あとは、毎年自分の生まれ育った(千葉県)館山の植物園を貸し切って野外イベントを開いているのですが、それはこれからも続けていきたいですね。これはライフワークみたいなもので、自分の好きなHIP HOPを詰め込んでいます。
 


 

BOZ


 
ーー率直に本日の感想はいかがでしたか?
 
アーティストのリリックノートを見ることができて良かったです。総じて字が汚くて、僕もリリックノートに書く時って思いついたらバーッと書くので、みんな汚いんだなと思いました(笑)
 
バトルは最後負けてしまったのですが、普段の自分を出すことができたので良かったです。
 
ーー若い世代に何を期待しますか。
 
HIP HOPを通じて色々な音楽を好きになってもらいたいです。僕ももちろんHIP HOPは1番好きなんですけど、UKロックとか他の音楽も結構好きで、これまでフリースタイルしか知らなかった子にも色々な音楽を知ってもらえたら、この業界はもっと繁栄するのではないかと思います。
 
ーー夫として、サラリーマンとして、ラッパーとして全てを大切にするためのルールやこだわりはありますか。
 
奥さんの理解がある、ということは大きいです。あとは社会人ラッパーって意外と多いのですが、僕は開き直って、サラリーマンであることとラッパーであること、両方とも本気でやろうという気分でやっています。
 
ーー両立で辛かったことはありませんでしたか?
 
実は就職活動を始めてから社会人3年目くらいまで活動を休止していて、結婚してからラップを再開しました。当時は奥さんにも辛い思いをさせていたと思います。今では「結婚詐欺か!」って笑えるんですけど、ラップをしている時に「仕事の時間もラップに費やせたらもっといいところに行けるのに…」とか考えてしまったこともありました。気持ちをきちんと切り替えるようにして(乗り切りました)。
 
ーー今後の目標をお聞かせください。
 
個人的な話ではありますが、今年は妊活を頑張ります(笑)
あとはこれからの時代、普通のサラリーマンも他で仕事をしなければならなくなると思うのですが、僕はそのひとつとしてラッパーがあってもいいかなと。「ラッパーで稼いでいて、サラリーマンもやっている」と言われるようになるのが夢です。
 

 

 
市原湖畔美術館では期日中、トークイベントやラップにまつわる映画の上映など9月中も様々なイベントが行われるとのこと。ラップ文化の知られざる一面に触れられるかもしれない。
 
試合終了後はどこからともなくラッパーたちが集合し、サイファーが始まった。美術館の一角で行われたそのパフォーマンスは紛れもなく、アートそのものだった。
 
 

ラップ・ミュージアム RAP MUSEUM
会期:8月11日(金)〜9月24日(日)
場所:市原湖畔美術館
時間:平日:10:00-17:00
土・休前日:9:30-19:00
日・祝:9:30-18:00
休館日:月曜日(祝日の場合は翌火曜日)
※詳細はHPにて

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