2017.09.29

PHILOSOPHY

身重のラブドールに抱く夢とは-制作者の菅実花さんにインタビュー!

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性欲か愛か、人がラブドールに求めるものは様々。オリエント工業展や篠山紀信さんの写真集で存在を知ったという人も多いかもしれない。これまで美しさや親しみやすさは追求されつつも、実質的には男性の性欲処理のためにのみ存在していたラブドールが今、性別や世代を超えて様々な人々から注目を集めている。
 
今回は2014年から「Do Lovedolls Dream of Babies?(ラブドールは胎児の夢を見るか?)」シリーズを手がけるアーティストの菅実花(かんみか)さんにインタビュー。現在横浜・黄金町で開催されているアートイベント「黄金町バザール」の会場にて彼女の作品を前にシリーズを始めたきっかけや制作時の苦労についてお話いただいた。
 
 

菅 実花

 
1988年神奈川県出身。
東京藝術大学大学院美術研究科先端芸術表現専攻博士後期課程在学中。
HP
 

ーーこのシリーズを始めたきっかけは何だったのでしょうか?
 
2013年に結婚して、家族になることや子どもを持つということについて考えるようになって、妊娠するということ自体をテーマにして作品作りをしたらどうだろうと考えたのがいちばん最初のきっかけです。
 

 
ーー制作を振り返って大変だったことは何でしょうか?
 
今回黄金町バザールに展示した作品は「The Three Graces」というタイトルです。これは西洋美術で描かれる画題で、3人の女神がほとんどの場合、全身のヌードで描かれているものなので、私も全身での撮影をしていたのですが、人形自体が自立しないので撮影中に倒れてしまうということがありました。作品1枚を撮影するのに5時間以上かかるのですが、(撮影から)大体2時間くらい経つと倒れてしまうということが何度も起きたので、(普段は話しかけることはありませんが)人形に向かって「もうちょっと空気読んでよ」と言ったりとか…(笑)
 
ーー予想外の悩みでした。
 
写真だと立っているように見えるのですが、実際は支えに立てかけて撮影しているので、寄りかかっているように見えないようなポーズ作りも大変でした。
 

©️Mika Kan

 
ーー見えない部分の苦労があったのですね。こちらのシリーズをいつまで続けるかご自身で考えたことはありますか?
 
実はいちばん最初に(ラブドールの腹部を加工していただくために)オリエント工業に持って行った企画書のうち、まだ3割くらいしか作品ができていないので、残りの7割をやりたいと思っています。何年かかるかわかりませんが、長期的に頑張りたいと思います。
 
ーーこの作品がどのように伝わって欲しい、どんな人に届いて欲しいといった想いはありますか?
 
(自分でははっきりした設定を作っていますが)特定の見方を強制したいとは思ってはいません。どのように感じていただいても大丈夫ですが、自分自身はラブドールに何を見ているのかということが大事だと思っています。性処理用の人形といってしまうと割り切ったものという感じがしますが、愛の対象というと人間以外のものへの愛情についても考えられると思いますし、私自身はラブドールに対してどこかで「女神性」みたいなものを感じていたのではないか、と(今までに数作品を)制作した後に思うようになりました。それと同時に「怪物性」(恐ろしさ)も感じています。作品の感想として、「綺麗だ」という方もいれば「怖い」という方もいましたし、「荘厳」だったりストレートに「エロい」という方もいて、自分自身が感じていたことをみなさんが受け取ってくれたのかなと思います。
 
ーー先ほど企画書の残りの7割を完成させたいというお話もありましたが、今後の目標などはありますか?
 
他にも作ってみたいテーマや作品はありますが、しばらくはラブドールの方を頑張って進めて、自分が考えていることをもっと伝えていかなければと思います。
 
 
菅さんはその人それぞれの価値観で作品を受け取って欲しいと話す。人間の形をしているけれど人間ではない。でも子どもの頃に遊んだ着せ替え人形ともどこか一線を画した不思議な世界の間に佇む「ラブドール」。妊娠したラブドールのお腹の中に詰まっているのは空気か愛か。現代のラブドールに私たちは何を見るのだろうかーー
 
 
黄金町バザール2017 –Double Façade 他者と出会うための複数の方法
会期:現在公開中〜11月5日(日)
※菅実花さんの作品は高架下スタジオSite-Aギャラリーでご覧になれます。(JR黄金町駅から徒歩3分)
http://koganecho.net/koganecho-bazaar-2017/artist/kan-mika.html
※詳細はHPにて
 
ATLAS展
菅さんも所属する東京藝術大学先端芸術表現科による展示です。
会期:2017年10月10日(火)〜10月15日(日)11:00〜17:00
会場:東京藝術大学取手校地
https://atlas2017ima.tumblr.com/

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