2018.03.02

PHILOSOPHY

家庭用編み機から生み出される緻密なグラフィック ニットデザイナー編み物☆堀ノ内さん

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カラフルなセーターに浮かび上がるのは、その時代に活躍したアイドルや、アーティストたちの顔。編み物☆堀ノ内として、デザイン業のかたわらセーターを中心としたニット作品をつくる堀ノ内達也さんにインタビュー。編み物を始めたきっかけや、作品の特徴となっている「顔」についてお話いただいた。

編み物☆堀ノ内さん

▲桑沢デザイン研究所卒業。
グラフィックデザイナー/ニットデザイナー
 
 
ーーそもそもなぜ編み物を始めたのでしょうか?
 
グラフィックデザインの仕事が空いた時間に何かやりたいと考えていた時に、ネットで海外の面白いセーターをまとめたサイトを見かけて、「セーターにすれば少し拙いイラストでも許されるのではないか」と考えたのがきっかけです(笑)。
 

-INUセーター©️Amimono Horinouchi

 

-たのきんトリオセーター

 
とにかくまず編み物の技術を習得しなければと思って、本屋や図書館で色々な本を買ったり借りたりする中で、小説家の橋本治さんが書かれた『男の編物 橋本治の手トリ足トリ』(河出書房)に出会いました。今はもうほとんど購入することができない本なのですが、山口百恵や沢田研二の顔を編み込んだセーターはデザイン的にも技術的にも衝撃的でした。編み物のhow to本としてもとても分かりやすかったです。その本を見て少しずつ編み物ができるようになっていきました。橋本治さんのことは勝手に師匠だと思っています(笑)
 
ーー現在もグラフィックデザインの仕事と並行して編み物をされているということですが、グラフィックデザインの技術や経験は編み物にも影響しているのでしょうか?
 
はい。まず編む前につくる図面はデザインで使うソフトを使用します。大体は写真を元に図面をつくりますが、色の省略の仕方だったり構図なんかはそのままグラフィックデザインの技術を使っていますね。
 
ーーあの緻密な作品はグラフィックデザインが元になっていたのですね!最初は手編みだったということですが、家庭用編み機を導入したのはなぜですか?
 
何と言っても手編みより格段に早く編むことができるからです(笑)。手編みだとひとつのセーターを仕上げるのに1ヶ月くらいは余裕でかかってしまうんです。その頃から何となく編み物も仕事にしたいと考えていたので、これではダメだぞと。編み機だったら無地の部分ならあっという間に編むことができます。絵柄の部分はまた少し厄介なのですが(笑)。最初は無地の部分は編み機で、絵柄の部分は手で編んでいましたが、色々な方法を試して現在は絵柄の部分も全部編み機でつくっています。
 

-家庭用編み機

 

 
ーー色々と試行錯誤されて今のスタイルに落ち着いたという感じでしょうか。編み物を始める前から現在に至るまで大変だったことは何でしょうか?
 
まずそれまでほぼ裁縫をやってこなかったので、編み物の習得は大変でした。あと、これは今もですが、時間がかかるということです。編み機でも1枚のセーターを編み上げるのに1週間くらいはかかってしまうんですよね。アパレルで使うデザインを入力すると自動で絵柄が編まれていく大型の工業用編み機が欲しいです(笑)。
 
ーーデザインそのものだったり、図面をいかにニットに落とし込んでいくかという部分を重視しているんですね。堀ノ内さんのつくるセーターには様々なアーティストや、映画の有名なワンシーンだったり「見たことある!」と言いたくなるような顔が並んでいますが、編むテーマを決める時に意識していることありますか?
 
基本的に好きな人やモチーフを選んでいますが、ある程度認知度があってみんなが見て楽しめるということは重要ですね。聖子ちゃん(松田聖子)やデヴィッド・ボウイ、横山やすしって全然ジャンルは違うように見えますが、その時代のアイコンになった人という意味では共通してますよね。アンディ・ウォーホルがつくったマリリン・モンローのシルクスクリーン作品も、時代のセクシーアイコン、ムービーアイコンを取り上げたからみんなグッときたんだと思うんです。
 

©️Amimono Horinouchi

 

©️Amimono Horinouchi

 

©️Amimono Horinouchi

 
ーー時代のアイコンを切り取っているんですね。
 
かっこよく言うとそうなりますね(笑)。見る人が「知ってる知ってる。」とか「聖子ちゃん好きだった。」ってグッときてくれたらいいなと思います。instagramでもスクロールする指を止めてもらえたら嬉しいです。
 
ーー堀ノ内さんが今までつくってきた作品の中でいちばん気に入っているものはどれですか?
 
今見ると本当にガタガタだなと思うのですが、編み物を始めて2番目につくった横山やすしのセーターは全体的に好きです。デザインや色の感じも気に入ってます。
 
本当はもっと日本人のモチーフを編みたいのですが、あまり買ってもらえなくて(笑)外国人アーティストや海外のモチーフの方が人気ですね。そもそもセーターを買ってくださる人は海外の方が多いですね。
 
ーー海外のメディアに多く取り上げられていますよね。HPに問い合わせが来る感じでしょうか?
 
そうですね。割と海外の方は気楽に問い合わせしてくれるような気がします。「いいね!これ売ってるの?」みたいな感じで。
 
ーー今後つくってみたいテーマなどはありますか?
 
人の顔だけではなくて、もっと別のモチーフでも編んでみたいなとは思っています。他の仕事をしている時や日常生活の時にも編み物のことを考えているのですが、「この人いいな」と思って実際にデザインしてみるとあまりうまくいかなかったり、ということもよくあります。図面つくってみたけどあまりグッと来ないなとか。思いつきでつくるというよりは、結構考え込みながらつくっています。
 
ーー最後にこれから挑戦してみたいことを教えてください。
 
以前岡村靖幸さんのツアーグッズとして、セーターをつくらせていただいたことがありますが、アーティストやバンドなど色々な方とどんどんコラボしていきたいです。あとはセーターだけではなく、バッグや靴下など制作の幅も広げることができたらと考えています。数は機械にお任せして、デザインだったりアイディアの面で色々なことに挑戦できたらいいですね。
 

©️Amimono Horinouchi

 
グラフィックデザイナーとしての知識や経験を編み物に活かして、アウトプットの場を広げた堀ノ内さん。家庭用編み機の使い方を習得するためにカルチャースクールに通った時期もあったそう。新しいことに挑戦したいと話す堀ノ内さんのこれからに注目です。
 
 
編み物☆堀ノ内
 
 
Cover photo by Amimono Horinouchi

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